排水管更新工事といっても、
各マンションでその進め方や工法は、大きく異なります。

机上では
既存管を撤去し、更新するだけでしょ、
と言ってしまえば、確かにそうなのですが、
実際の作業は大変です。

その中でも、技術的に最も検討を要するのが、
浴室と1階床下の配管です。

■浴室については、
ユニットバスのように、あらかじめ工場で作られたものを設置する方法と
現場で防水工事を施す方法があります。

古いタイプの浴室は、現場で防水工事を施す方法です。
その浴室では、鋳物製のトラップが使用されています。
その多くが、錆びています。

このトラップを交換したいのですが、問題が大ありなのです。

個人がリフォーム工事で、この古いタイプの浴室からユニットバスに変えた場合
このトラップには手をつけず、そのまま再利用している場合がほとんどです。

なぜか、
・トラップが防水層を貫通しています。
・トラップを撤去するためには、防水層を一度切断する必要があります。
・切断した場合、復旧させなければなりませんが、その補修工事がとても難しいのです。

古い防水層と新しい防水層がなかなか一体化しないからです。

新旧の防水層が一体化しない場合、漏水事故の原因になります。

次に、
■1階床下に、作業員が入ることができる空間(ピット)があるかどうかです。

空間(ピット)があれば、とくに問題はないはずです。(別の要因がなければ)

空間がない場合、想像以上に大掛かりな工事にならざるを得ません。
設備配管工事というよりも基礎・躯体に係る建築工事です。

・1階床スラブの分厚いコンクリートを削り取る必要があります。
・床下の土を外部に搬出しなくてはなりません。

建物の横から掘っていって、ピットを作るという工法を提案する業者
あるいは、
建物の横から掘っていって、配管更新後は、掘って作った空間を流動化処理土で埋めてしまうという工法を提案する業者

・流動化処理土とは、流動性のある埋め戻し材で、建設残土に水・セメントを混ぜて作ったものです。

建物の地中梁に手をつけます。
建物の耐震強度とも関係するため、管理組合としては難しい決断を迫られます。

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