
今回は
排水管改修工事のポイント(第3回)
についてお話したいと思います。
(8)他の設備機器、配管、ダクト、配線等の関係や床・壁・天井などの復旧方法等については事前に綿密な調査を行う必要がある。
排水管改修工事に着工する前に、全専有部内調査が実施されます。(この調査無くして、工事は始められません。)
・設計事務所による設計見積書をベースとして、施工会社が見積書を作成するケース
・責任施工で最初から施工業者が、図面・数件の住戸サンプル調査を基に見積書を作成するケース
どのケースの見積書で管理組合が正式契約をしても、各戸すべての実態が把握されている訳ではありません。
工事の正式発注契約を結んだ後、
各戸に施工会社の作業責任者、職長、作業員が班編成をし、各戸を訪問し、リフォームの有無、有の場合はその範囲、その機器の品番、物件販売時との設置位置の違い等々を確認していきます。
施工者は、居住者へ管理組合からの発注工事範囲を伝えます。
このとき、居住者は工事範囲を確認した上で、オプション工事も含めた意志のすり合わせがとても大切です。
特に内装でクロスは同じ品番のものは通常ないと考えた方がいいですし、また、仮にあったとしても、新旧クロスでは変色等でかなり色の違いが出てしまいます。
住戸内のリフォームを考えている方であれば、この調査の時にその意志を明確にします。詳細はリフォーム担当者が後日訪問しますから、その担当者と納得がいくまで打合せをすればいいのです。
管理組合が発注する本体工事と重複する部分については、部署は異なりますが同じ会社でのリフォーム工事です。
町のリフォーム業者さんとは明らかに違います。
何か問題が起これば、現場全体の責任者である現場代理人に相談すればいいのです。
(9)居住者、区分所有者、管理会社、管理員、管理組合の役員はもちろん工事に賛成しなかった人も含めて、関係者全員が一致協力しなければ遂行不可能な工事であり、居住者の留守時の対応なども事前に検討する。
入室拒否、居住者と連絡が取れない等の住戸
過去の入室を伴う作業(消防設備点検、雑排水管洗浄等)を拒絶してきた住戸に対しては施工業者だけではどうにもならない場合があります。
工事が始まってから、入室できない住戸があるのですが、と業者から管理組合へ相談があっても、工事当日ではその住戸の上下階は、その日程に合わせて仕事を休んだり、スケジュール調整をして在宅しているのです。
理事会、修繕委員会等が積極的に関わって、事前に協力確認をしておく必要があります。
(10)騒音や粉じんの発生、工程の変更、予想外のトラブル、異臭の発生等は排水管の更新工事では当たり前という認識が必要
工事の期間中、上下階、周辺住戸に騒音が響きます。普段は静かなマンションでもこのときは一変します。ですが避けては通れない工事なのです。関係者全員が一致協力して施工効率のアップを図ることが、何より大切です。
(11)クレーム発生時の対処を考える。
専有部内へ入室を伴う工事です。通常の共用部工事では発生しないクレームも在り得ます。多くの施工実績を持つ業者であれば、様々なクレーム対応もして来ています。
その事例の中で、特に管理組合、理事会が動かないと解決が図れないものについては事前検討が重要です。
(12)最終的な工程決定の前に、実験的に工事を実施することも場合によっては必要である。
住戸タイプが非常に多いマンションでは、デモ施工がとても重要です。
タイプ別にデモ施工を行うと、竣工図とは異なる点も出てきます。
竣工図通りに施工されているマンションの方がまれだと考えてください。
(13)竣工図書には、必ず竣工図と工事過程を撮った写真が不可欠である。
管理組合はそれらを保管しなくてはならない。
工事過程を撮った写真は重要です。
工事全体が終了し、後年各個人がリフォーム申請をしてきた際は、その完了報告書が重要です。
また、管理組合がかける共用部火災保険の更新をする際も工事資料はとても重要となります。
(14)それぞれの専有部ごとのカルテを作成する。
特に、トラブルを回避するためにも「工事実施前」の写真は不可欠
居住者は、普段の生活で室内の傷や汚れなど気にしていません。
ですが、他人が入った後となると話は別です。
入念にチェックされて、以前はここに傷などなかった、と始まるのです。
施工前写真を撮りながら、問題ある(傷や汚れ等)箇所を発見した場合
業者は、居住者に一緒に確認してもらいます。
そうすることで、大きなトラブルになるのを防いでいます。